062276a8e
↑過去のシーンのヤンに似た髪型のQちゃん。
この写真以外は、リンク先にデータがあるため、突然消える事があります。

映画「アフター・ヤン」を観ました。
私はWOWOWで観ましたが、Amazonなどの動画配信でも観ることが出来ます。
ディスクは日本語版は未発売のようです。
「アフター・ヤン(字幕版)」
↓写真をクリックするとAmazonの商品ページに飛びます
アフター・ヤン(字幕版)
そもそもWOWOWの「ハリウッドエクスプレス」という海外の映画紹介の番組で紹介されており、「ロボットものだ」と期待してました。
製作は、ヘンテコな映画ばかりを作る(しかもヒットする)A24です。
日本では限定公開に近くて、私は公開時に観ることが出来ませんでした。

予告

公式ページ
https://www.after-yang.jp

あらすじ
未来。お手伝いのロボット「ヤン」がいる家庭。
ヤンは家族同然の存在であり、特に娘とは兄と妹と呼び合うほどに近い関係。
ところが、ある日、突然動かなくなってしまう。
父のジェイクは、修理するために行動を起こすが、そこでヤンには秘密があることを知る。

とても大好きな映画になりました。
基本的に大げさな展開は皆無です。静かに物語が流れます。
説明不足に感じるぐらい説明はなくて、でも主題であるヤンという存在を失った人々を描く部分では、過不足がありません。

メインとなる家族は、アイルランド人(父)、アフリカ系黒人(母)、養女(中国人)なので、「すごく多様性に配慮してる〜」と思いました。
が、これはある意味で引っかけで、人種の差別はなくなってる世界(すくなくとも描かれない)のですが、それ以外にヤンのようなロボット、クローンで作られた人間が登場し、それらに対する偏見を感じるシーンがあります。
どうやら、この世界は人口が激減していて、なので、養子をもらうのは普通だし、クローンで故人から新たな人間を作ることもやっているようです。(お隣さんは、娘が三人いますが全員がクローン。そのうち二人は双子ですが、もしかしたら、同じ人間のクローンなのかも?)

ヤンは、ロボットですが、人間に近い構造で、機能停止後は、早くしないと腐敗がはじまるという話も出て来ます。
お父さんのジェイクは、ヤンを中古で買いましたが、前の持ち主は5日間しか所有してなかったので「ほぼ新品」だと思って買ってます。加えて購入店の保証書がありました。
ところが、購入したお店に行くと店がなくなっており、保証が受けられません。
(ラブドールと同じです。ちゃんとしたお店で買わないから……)
さらに調べていくうちにヤンは、いろいろな過去を持っていることが分かってきます。
ヤンには、自分で残しておきたい思い出を記憶とは別に1日に数秒だけ動画として残しておくことが出来ます。それを取り出して観ると、たわいもないシーンが沢山でてきます。ヤンは、そんな日常を大切にしていたのです。

物語には大きな謎もあって、サスペンスにも出来そうですが、そうはならず、残された人々がヤンを思い出し、その逆にヤンが家族をどのように愛していたかをメモリーから知るという部分に重点を置いていて、派手なことはなく、静かに心地よい時間が流れます。
どのシーンも美しく、セリフも心に響きました。

ラブドールも思考して家族のような存在になる未来はかならず来ると思いますが、その時に、どんな日々を記憶して、お迎えしたドーラーについてどんなこと考えるのだろうかと、想像しました。
可能ならヤンのように日々の平凡なことに幸せを感じて欲しいです。

おまけ
途中でヤンが過去にある人物とコンサートに行くメモリーが再生されるのですが、この時に流れる曲が岩井俊二監督「リリィ・シュシュのすべて」の「グライド」でした。めちゃ驚きました。
大好きな映画なんですよ、「リリィ・シュシュのすべて」。
ちなみにエンディングでも流れます。
あと父ジェイクが、ヤンの修理に疲れて行く店がラーメン屋。
お酒も飲みますが、缶に「ドライ」の文字が見えるのには笑いました。
世界観としてアジア文化がよく出てくるので、もしかしたら未来はアジア文化がメインになっているのかもしれません。
ちなみに監督は韓国の出身の方だそうです。